エンジニアの市場価値診断サービス比較|9サービスを「算出データ」で4タイプに分類、精度の差と使う順番【2026年10月版】
「自分の年収は相場より低いのか」を確かめようとして市場価値診断を2つ3つ試すと、結果が100万円以上ずれることがあります。どれかが壊れているわけではありません。サービスごとに、何のデータを使い、誰と比べているかが違うからです。
この記事では、エンジニアがよく使う9つの診断・年収データサービスを、各社の公式ページに書かれた「算出データ」で4タイプに分けます。そのうえで、結果がずれる理由と、自分の年収が相場とどれだけ離れているかを確かめる手順を整理します。
- 診断は4タイプに分かれます。A 実際のオファー/B 企業が提示した年収の統計/C 会員の現年収の統計/D スキルのスコア。A に近いほど「企業がいくら払うか」に近づきます。
- 同じ「エンジニアの年収」でも、どの母集団で数えるかで大きく変わります。doda の技術系(IT/通信)の平均は469万円、PROJECT COMP のサーバーサイド開発の中央値は700万円です。診断を見比べる前に、母集団を揃えます。
- 手順は次の3つです。①登録不要の診断と年収データベースで、自分が分布のどこにいるかを見る(10分)。②オファー統計型で、同じ経験年数の人に企業が提示した額と比べる。③スカウトや転職ドラフトで、実際のオファーを受けて確かめる。
「市場価値」は3種類の数字のどれかを指している
診断サービスが「あなたの市場価値は○○万円」と出す数字は、中身を見ると次の3種類のどれかです。
- 現年収の相場:あなたと似た属性の人が、いまいくらもらっているか。doda・ビズリーチ・Geekly などの会員データがこれに当たります。
- オファー年収:企業が、あなたと似た人にいくらを提示したか。転職ドラフトの年収提示や、LAPRAS の興味通知に書かれた年収がこれに当たります。
- スキルの相対位置:年収ではなく、技術力が登録者の中でどのくらいの位置か。Findy のスキル偏差値や paiza のランクがこれです。年収はそこから二次的に推定されます。
転職を考えるときに知りたいのは、ふつうは2つ目の「企業がいくら払うか」です。ただ、1つ目と3つ目の数字にも「市場価値」というラベルが付いているので、出てきた数字がどれなのかを先に確認します。年収の基本的な分布はエンジニアの平均年収の記事で整理しています。
9サービスを算出データで比較【一覧表】
各サービスの公式ページ・プレスリリースに書かれている算出データをまとめました(2026年10月3日時点)。「タイプ」は本記事での分類です。
| サービス | タイプ | 算出に使うデータ(公式記載) | 入力・条件 | 出るもの | 登録 |
|---|---|---|---|---|---|
| 転職ドラフト エンジニア年収診断 | B | 12万件以上の年収提示データ(2016年1月〜2025年10月開催分)。インフレ率で調整 | 経験年数・経験職種数・経験技術数 | 適正年収 | 不要(約2分) |
| LAPRAS 年収分析 | B | 企業から届いた「興味通知」に書かれた提示年収 | エンジニア経験年数・登録情報 | 同じ経験年数のオファー年収の分布、オファー年収予測 | 必要 |
| ビズリーチ 年収可能性診断 | C | ビズリーチの会員データ | 経歴 | 似たキャリアの人の中央値・上位20%・上位5%の年収 | 必要(登録後に表示) |
| doda 年収査定 | C | doda会員186万人のデータ。機械学習(アンサンブル学習)で推定 | プロフィール・職務経歴 | 適正年収、30年間の年収推移、キャリア事例 | 必要(約3分) |
| ミイダス 市場価値診断 | C | 登録時の入力データから「類似したユーザーの年収実績」を算出 | 経歴・スキル | 想定年収、あなたに興味がある企業数 | 必要 |
| Geekly 年収診断 | C | IT・Web・ゲーム人材10,000人のデータ(2022年1月〜2023年1月の実績) | 職業・年齢・現年収・勤務地など | 同年代・同職種との比較、年収アップ予想額 | 必要 |
| Findy スキル偏差値・想定年収 | D | GitHubの公開リポジトリ(コミット量、OSSへの貢献、他者からの支持など)。想定年収はスキル偏差値に職種・マネジメント経験年数などを加味 | GitHub連携 | 言語別スキル偏差値、想定年収 | 必要 |
| paiza スキルチェック | D | コーディング問題の結果(S〜Eの6段階) | 問題を解く(15言語対応) | スキルランク、適正年収の査定 | 必要 |
| PROJECT COMP | 基準 | ユーザーが匿名で投稿した実際の給与 | 閲覧のみ(投稿すると詳細を確認できる) | 職能・スキル・企業別の分布(P10〜P90) | 閲覧は不要 |
※ マイナビ転職ITエージェントの「年収±診断」は3問に答える形式ですが、公式ページを取得できず、算出データを確認できなかったため表から外しました。ギークスジョブの「市場価値診断」はフリーランスとして独立した場合の月額報酬を出すもので、正社員の年収とは基準が違います。
4タイプの精度とズレ方
スカウトの提示年収、転職ドラフトの指名、内定の条件
最も直接的。ただし転職活動をしないと得られません
転職ドラフト年収診断、LAPRAS
「声がかかる層」のデータなので高めに出やすい
ビズリーチ、doda、ミイダス、Geekly
会員の構成に引っ張られます。仕事の中身は粗くしか反映されません
Findy スキル偏差値、paiza ランク
測っている範囲が狭い。年収は二次的な推定です
TYPE Bオファー統計型:企業の提示額に近いが、母集団が上に寄る
転職ドラフトの年収診断は、過去のスカウトで企業が実際に提示した年収12万件以上を使います。会員登録なしで約2分で結果が出るので、最初の1回には向いています。
注意点は2つです。1つは、入力が「経験年数・経験職種数・経験技術数」の3つしかないことです。設計をリードした経験や、運用している規模の大きさといった差は入りません。もう1つは、元のデータが転職ドラフトに参加した人のものだということです。転職ドラフトの本番に参加するにはレジュメの審査があるため、母集団はエンジニア全体より上に寄っていると考えるのが自然です。
LAPRAS は2025年9月に、企業からの興味通知に書かれた提示年収を、経験年数ごとの分布として見られる機能を出しました。公表された例では、経験5年の中央値は683万円、上位25%は803万円(2025年9月時点)です。2026年3月には「年収分析」をリニューアルし、同じ経験年数の人のオファー年収との比較やオファー年収の予測が見られるようになりました。分位で見られるので、自分の位置を確かめやすいのが利点です。ただし、データは興味通知を受け取った人のもので、提示年収は幅で書かれることが多い点に注意してください。
TYPE C会員年収統計型:母数は大きいが「誰と比べているか」で結果が変わる
doda は会員186万人のデータを使い、機械学習で適正年収を推定します。ビズリーチは会員データをもとに、似たキャリアの人の中央値・上位20%・上位5%を出します。どちらも母数は大きいのですが、出てくるのは「似た人がいまいくらもらっているか」であって、企業がいくら払うかではありません。
結果がずれる主な理由は会員の構成です。たとえば doda の平均年収ランキング(2024年9月〜2025年8月に登録した約60万人を集計)では、技術系(IT/通信)の平均は469万円です。この中には SIer、社内SE、ヘルプデスクなども含まれます。Web系の自社開発企業にいる人がこの基準で診断すると、「相場より高い」と出やすくなります。逆にビズリーチの会員はハイクラス寄りなので、同じ人が診断すると相対的な位置は下がりやすいはずです。ビズリーチ自身も「一般的な統計調査とは異なる場合がある」と注記しています。
Geekly の年収診断は、2022年1月〜2023年1月の実績をもとに算出していると明記しています。Findy は、ハイスキル層の年収が1年で約60万円上がったとして2023年に予測ロジックを更新しています。データが2〜3年前のものだと、そのぶん結果は低めに出ると見ておくのが安全です。
TYPE Dスキルスコア型:年収ではなく「業務外から見える技術力」を測る
Findy のスキル偏差値は、GitHub の公開リポジトリだけを解析します。2024年12月に公開された v3 は、評価者が付けた「どちらのスキルが上か」という比較データでランキング学習をしたモデルで、対象は Python・JavaScript・TypeScript・Go・Ruby・PHP の6言語です。Findy の技術ブログによると、人が判断しても意見が分かれるペアが10〜20%程度ありました。業務コードを private リポジトリで書いている人の多くは、実力より低く出ます。
paiza のスキルチェックは、コーディング問題の結果で S〜E の6段階のランクを付けます。公式ページによると、Cランク以上の人のうち S は上位1%、A は上位10%、B は上位30%(概算)です。測っているのはアルゴリズムの問題を解く力なので、インフラ・SRE、設計、マネジメントの価値は反映されません。
このタイプは「市場価値の金額」を知るためではなく、業務外でも示せる技術力の証拠を作るために使うと役に立ちます。スコアそのものより、スカウトが届くきっかけになる点が大きいです。Findy の使い勝手はFindyの評判の記事にまとめています。
TYPE A実オファー:最も正確だが、転職活動をしないと得られない
市場価値を「企業がいくら払うか」と定義すると、正解に一番近いのは実際のオファーです。転職ドラフトは参加者のレジュメを見た企業が年収を書いて指名する仕組みで、2026年8月回は参加者665人・参加企業235社・指名2,732件でした。次回は10月14日に始まります。スカウト型サービスの提示年収も同じ種類のデータですが、求人の年収は幅で書かれていて、上限は条件がそろった場合の額です。中央から下限寄りの値で見るのが現実的です。
同じ「エンジニアの年収相場」でも出所で200万円以上違う
タイプCのところで書いた「母集団の違い」を数字で並べます。ここに並べた数字は、どれも公開されている一次データです。
エンジニア年収の基準値は出所でこれだけ違う(万円)
バー=P25〜P75(PROJECT COMPのみ)/白線=中央値または平均/緑線=上位25%
PROJECT COMP サーバーサイド開発:P10 442/P25 550/中央値 700/P75 885/P90 1,165万円(2026年10月3日取得、本人申告)。目盛りは200〜1,000万円
doda の平均と PROJECT COMP の中央値の差は約230万円です。PROJECT COMP の投稿者には Web 系の自社開発企業の人が多く、doda には幅広い職種・業界の人が含まれます。「年収600万円は高いか低いか」は、どちらの物差しを使うかで答えが逆になります。
実務では、自分がいる業界・職種に近い物差しを1つ選び、その中での位置(下位25%未満か、中央付近か、上位25%以上か)で判断します。職種別に細かく見たい場合は、SREエンジニアの年収分析のように職種を絞ったデータを使うと、ずれが小さくなります。
年収のズレを確かめる3ステップ
ここまでの内容をまとめると、診断は次の順番で使うのが効率的です。前のステップほど手間が小さく、後ろのステップほど結果が正確です。
- 分布の中の位置を見る(登録不要・10分)転職ドラフトの年収診断で目安を出し、PROJECT COMP で自分の職能・スキルの P25/中央値/P75 を見ます。現年収が P25 を下回っていれば、ズレを疑う根拠になります。
- 同じ経験年数のオファー額と比べる(登録あり)LAPRAS の年収分析やビズリーチの年収可能性診断で、分位を見ます。登録すると企業やエージェントから連絡が来るので、転職するつもりがなければ通知設定を先に確認します。
- 実際のオファーで確かめるスカウト型サービスにレジュメを置くか、転職ドラフトに参加します。最初の数件の提示年収(中央から下限寄りの値)が、ステップ1・2の結果と大きく違わなければ、その数字があなたの相場です。
ステップ3まで進めると、その数字は年収交渉の根拠としても使えます。交渉の進め方はエージェント経由の年収交渉の記事、スカウト型と求人検索型の使い分けはエンジニア転職サイトの選び方を参照してください。
目的別:どの診断から使うか
| 目的 | 最初に使う | 次に使う | 理由 |
|---|---|---|---|
| 転職するつもりはないが、現在地を知りたい | 転職ドラフト年収診断 | PROJECT COMP | どちらも登録不要で、営業の連絡が来ない |
| 今の会社で昇給交渉の材料がほしい | PROJECT COMP(自社・同業他社) | LAPRAS 年収分析 | 企業別・分位で示せる数字のほうが説得力がある |
| 半年以内に転職を考えている | ビズリーチ/LAPRAS | スカウト・転職ドラフト | 診断の登録がそのままスカウトの受け口になる |
| 実力が年収に反映されていない気がする | Findy/paiza | スカウト | 業務外から見える証拠を作ると、声がかかる企業の層が変わる |
| ハイクラス帯(800万円以上)での位置を知りたい | ビズリーチ年収可能性診断 | エージェント面談 | 上位20%・5%の値が出る。総報酬の内訳は個別に確認が必要 |
800万円を超える帯では、基本給より賞与・株式報酬の割合が大きくなり、診断の「年収」が何を含むかがあいまいになります。総報酬の内訳の見方は年収3000万の実例の記事で解説しています。
診断の結果を、実際の求人の年収で確かめるなら
エンジニア向けの転職支援サービスに相談すると、あなたの経歴に近い人が実際にどの年収帯で内定を得ているかを、個別の求人をもとに確認できます。
診断結果を使うときの注意点
- 登録型の診断は、転職サービスの入口です。doda・ビズリーチ・ミイダス・Geekly の診断は会員登録が前提で、登録すると求人の案内やスカウトが届きます。転職しない場合は、通知の設定や企業ブロック機能を先に確認してください。
- 入力の細かさが精度の上限になります。職種名と経験年数だけでは、「同じバックエンドでも、決済の基盤を任されている人」と「保守運用中心の人」を区別できません。
- データの時点を確認してください。2〜3年前のデータで推定した値は、いまの水準より低めに出る可能性があります。
- スキルスコアが低くても、市場価値が低いとは限りません。公開リポジトリやアルゴリズム問題に出てこない仕事のほうが、年収への影響は大きいことが多いです。
診断で「低い」と出て焦る必要はありませんが、3ステップを通しても P25 を下回るなら、評価制度か職場を見直すサインです。動く時期はエンジニア転職のタイミングの記事で、求人倍率の季節変動をもとに整理しています。
よくある質問
市場価値診断ツールはどれがいいですか?
エンジニアとしての市場価値とは何ですか?
年収600万円のエンジニアはどのくらいのレベルですか?
診断サービスによって結果が100万円以上違うのはなぜですか?
エンジニアの年収3000万円は本当にありますか?
参考・出典
- 転職ドラフト「エンジニア年収診断」 https://job-draft.jp/diagnosis
- 株式会社LAPRAS「『年収×経験年数』でエンジニアの市場価値を比較できる新機能を公開」(2025年9月29日) https://corp.lapras.com/news/1222/
- 株式会社LAPRAS「『年収分析』をリニューアル」PR TIMES(2026年3月26日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000147.000024729.html
- ビズリーチ「年収可能性診断」 https://www.bizreach.jp/entry/income-estimation/
- doda「年収査定」 https://assess.doda.jp/
- doda「平均年収ランキング(職種別)」2025年版 https://doda.jp/guide/heikin/syokusyu/
- ミイダス 公式サイト https://miidas.jp/
- Geekly「エンジニア・IT人材向け年収診断」 https://www.geekly.co.jp/diagnosis/income/
- Findy Tech Blog「スキル偏差値を大幅リニューアルした話」(2024年12月16日) https://tech.findy.co.jp/entry/skill-deviation-v3-ml
- Findy「最新のエンジニア給与情報を反映!想定年収機能をアップデート」 https://findy-code.io/blog/notice_05/
- paiza「プログラミングスキルチェック」 https://paiza.jp/challenges/info
- PROJECT COMP(サーバーサイド開発の統計、2026年10月3日取得) https://project-comp.com/detail/s7