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社内SEの年収は「会社の賃金表」で決まる|業界×企業規模別レンジと、SES・SIerから移って上がる/下がる条件【2026年10月版】

・ 著者: 福朗(フリーランスAIエンジニア)
社内SEの年収は会社の賃金表で決まることを示すアイキャッチ。30〜34歳の年収水準は製造業1,000人以上が626万円、情報サービス業100〜999人が522万円、産業計10〜99人が430万円

この記事の要点

  • 「社内SEの平均年収」はデータ元によって429万〜614万円と大きく違う。求人の中央値なのか、転職希望者の自己申告なのかで母集団が違うため
  • 社内SEは役割の幅が広い。dodaの職種別平均ではIT戦略・システム企画が614万円、ヘルプデスクが362万円で、差は約250万円
  • 社内SEは事業会社の社員なので、給与はその会社の賃金表で決まる。賃金構造基本統計調査(令和7年)で試算すると、30〜34歳の年収水準は製造業の1,000人以上で626万円、10〜99人で393万円と、企業規模だけで1.6倍の差がある
  • SES・SIerから移る場合、大企業の企画寄りのポジションなら上がりやすく、中小企業の一人情シスや運用中心のポジションなら下がりやすい。残業代が減るぶんも計算に入れる

「社内SEに移ると年収は下がるのか」は、SESやSIerで働くエンジニアがよく抱く疑問です。ただ、検索上位の記事を見ると「平均590万円」「平均512万円」「平均826万円」と数字がバラバラで、判断の材料になりません。

この記事では、数字がばらつく理由を母集団から整理したうえで、社内SEの年収が「職種」ではなく「どの会社の賃金表に乗るか」で決まるという前提に立ち、業界・企業規模別の水準を公的統計で比べます。最後に、移ったときに上がるケースと下がるケース、求人票で確認すべき項目をまとめます。

社内SEの平均年収:データ元で429万〜614万円に割れる理由

まず、よく引用される数字を出典と母集団つきで並べます。同じ「社内SE」でも、何を数えたかで数字は大きく変わります。

データ数値何を数えたか
求人ボックス 給料ナビ「社内SE」429万円掲載求人の給与の中央値(2026年10月6日更新)。給与幅は366〜835万円
求人ボックス 給料ナビ「システムエンジニア」494万円同上。比較用(給与幅349〜1,016万円)
doda「IT戦略/システム企画」614万円2024年9月〜2025年8月のdoda登録者の年収平均
doda「システム開発/運用」489万円同上
doda「運用/監視/保守」389万円同上
doda「ヘルプデスク」362万円同上
Geekly「社内SE」平均614万円
中央値587万円
Geeklyを利用したIT業界勤務の転職希望者4,548名(2025年6月〜2026年5月)

出典: 求人ボックス 給料ナビ、doda「平均年収ランキング(職種別)」、Geekly「社内SEの年収」コラム。いずれも2026年10月8日に確認。

求人ボックスの429万円は、求人票に書かれた給与の中央値です。社内SEの求人には、中小企業のヘルプデスクや未経験可の募集が多く含まれるため、低めに出ます。同じ求人ボックスでも「システムエンジニア」は494万円なので、求人票ベースでは社内SEのほうが中央値は低いことになります。

一方、Geeklyの614万円は、IT業界で働く転職希望者が対象です。IT系の転職エージェントを使う層なので、経験者に偏ります。dodaは社内SEという職種名では集計しておらず、役割ごとに別の職種として出しています。

結局のところ、「社内SEの平均年収」という一つの数字には意味が薄いです。自分が狙うポジションの役割と、移籍先の会社の規模・業界で見る必要があります。

役割別の年収:社内SEの中身は4つの層に分かれる

社内SEの仕事は、会社によって中身がまったく違います。dodaの職種分類に当てはめると、次の4つに分かれます。

社内SEの4つの役割と平均年収を示した図。IT戦略・システム企画614万円、システム開発・運用489万円、運用・監視・保守389万円、ヘルプデスク362万円(doda平均年収ランキング2025)
doda平均年収ランキング2025の職種小分類を、社内SEの役割に当てはめたもの
役割(dodaの職種名)全体20代30代40代50代〜
IT戦略/システム企画614万439万594万723万851万
システム開発/運用489万404万516万628万662万
運用/監視/保守389万350万441万552万630万
ヘルプデスク362万327万375万448万499万
(参考)SE/プログラマ435万394万495万576万593万
(参考)プロジェクトマネジャー707万517万705万855万867万

出典: doda「平均年収ランキング(職種・職業別)」2025年版。SE/プログラマとプロジェクトマネジャーは、主にSIer・SES側の職種として比較のために載せています。

この表から言えることは2つです。

1つ目は、企画寄りの社内SEは、SIerのSE/プログラマより年収が高いことです。30代で比べると、IT戦略/システム企画は594万円、SE/プログラマは495万円で、約100万円の差があります。要件定義やベンダー管理の経験があるSIer出身者が、企画寄りの社内SEに移って年収が上がりやすいのはこのためです。

2つ目は、運用やヘルプデスク中心の社内SEは、SE/プログラマより低いことです。30代では、運用/監視/保守が441万円、ヘルプデスクが375万円です。求人票に「社内SE」と書かれていても、業務の大半がPCのキッティングや問い合わせ対応なら、年収はこの水準になると考えておくべきです。

なお、Geeklyのデータでも傾向は同じで、社内SEのうちIT戦略・企画系の平均は758万円、開発系は519万円と出ています。

業界×企業規模別:社内SEの年収は「会社の賃金表」に乗る

社内SEは、製造業や小売業などの事業会社に雇われる社員です。IT部門だけに別の給与体系を設けていない会社では、営業や経理と同じ等級・賃金表で給与が決まります。そのため、社内SEの年収はその会社の業界・企業規模の賃金水準に強く引っ張られます。

そこで、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)から、業界・企業規模別の年収水準を試算しました。計算方法は「きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額」です。この統計は全職種の平均で、社内SEだけの数字ではありません。「その会社の賃金表がどのくらいの水準か」を見るための目安として使ってください。

出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・産業大分類/産業中分類 第1表から試算(民営事業所、企業規模10人以上、学歴計)。

業界年齢1,000人以上100〜999人10〜99人
産業計30〜34歳588万484万430万
35〜39歳662万523万464万
製造業30〜34歳626万479万393万
35〜39歳725万524万431万
卸売業,小売業30〜34歳545万473万433万
35〜39歳607万519万468万
金融業,保険業30〜34歳667万606万602万
35〜39歳764万717万852万
医療,福祉30〜34歳534万430万410万
35〜39歳608万461万437万
情報サービス業
(SIer・SES側)
30〜34歳734万522万508万
35〜39歳836万609万583万

出典: 同上。金融業,保険業の10〜99人は対象者数が少なく、年齢階級によって値が大きく振れます。

読み取れるポイントは3つです。

企業規模の差は、業界の差より大きい

製造業の30〜34歳では、1,000人以上が626万円、10〜99人が393万円です。同じ業界でも約1.6倍の差があります。産業計でも、1,000人以上と10〜99人の差は30〜34歳で158万円、35〜39歳で198万円です。社内SEの求人を比べるときは、業界より先に企業規模を見るほうが年収の見当をつけやすいと言えます。

差の大きな部分は賞与

産業計の年間賞与は、1,000人以上で141万円、10〜99人で65万円です。所定内給与(月の基本給にあたる部分)に対する倍率にすると、1,000人以上は約3.6か月分、10〜99人は約2.1か月分です。月給だけを比べると差が小さく見えるので、求人票の月給より、賞与の実績を確認するほうが重要です。

情報サービス業の100〜999人は、大企業の事業会社より低い

SIerやSESの多くが含まれる情報サービス業のうち、100〜999人の30〜34歳は522万円です。これは製造業の1,000人以上(626万円)や金融業(600万円台)より低く、卸売業,小売業の1,000人以上(545万円)とほぼ同じです。逆に、情報サービス業の1,000人以上(734万円)は、ほとんどの業界の大企業より高い水準です。

SES・SIerから社内SEに移ると年収は上がる?下がる?

ここまでのデータをまとめると、移ったときに年収が上がるか下がるかは、今いる会社の水準と、移籍先の業界・規模・役割の組み合わせでほぼ決まります。

SES・SIerから社内SEへ移ったときに年収が上がりやすい条件(1,000人以上の事業会社、賃金水準の高い業界、IT企画・PM・セキュリティ寄りの役割、多重下請けの下位からの移籍、賞与実績が所定内の3.5か月分以上)と、下がりやすい条件(100人未満の一人情シス、ヘルプデスク・運用中心、現年収に残業代が多い、現職が大手SIer、情報システム子会社)を並べた図
年収が上がりやすい条件と下がりやすい条件

上がりやすいケース

  • 中小のSESやSIer(100〜999人で522万円の水準)から、1,000人以上の事業会社に移る
  • 金融・電力ガス・大手製造など、賃金水準の高い業界に移る
  • 要件定義・ベンダー管理の経験を活かして、IT企画やPMのポジションに就く
  • 多重下請けの下位にいて、スキルに比べて単価・給与が低く抑えられている

下がりやすいケース

  • 100人未満の会社で、IT全般を1人で見る「一人情シス」になる
  • 業務の大半がヘルプデスクや運用・保守
  • 今の年収に残業代が多く含まれていて、移籍先では残業が減る
  • 現職が大手SIer(情報サービス業の1,000人以上は30〜34歳で734万円)

見落としやすいのは残業代

賃金構造基本統計調査(令和7年)では、情報サービス業の「きまって支給する現金給与額」は月43.2万円、所定内給与額は月40.1万円です。差の月3.2万円が超過労働給与(残業代など)にあたり、年に換算すると約38万円です。これは平均値なので、月40〜50時間の残業がある現場ではもっと大きくなります。

試算例:30代前半、SES勤務で年収520万円(うち残業代が年60万円)の人が、残業月10時間程度の社内SEに移る場合

残業代を除いた年収は460万円。提示年収が500万円なら、額面は20万円下がるが、時間あたりの給与は上がる。提示年収が460万円を下回るなら、時間あたりで見ても下がる。

年収を比べるときは、今の年収から残業代を抜いた額と、移籍先の提示額(固定残業代を除いた額)で比べると判断を誤りにくくなります。年収が下がったあとの対応はエンジニア転職で年収が下がった時の対処法で整理しています。

大手SIerから移るなら役割で取り返す

大手SIerの元請けにいる人が、同じ規模の事業会社の社内SEに移ると、年収はほぼ横ばいか下がることが多いと考えられます。情報サービス業の1,000人以上は、製造業の1,000人以上より30〜34歳で100万円以上高いためです。この場合は、IT企画や情報システム部門のマネージャー候補など、等級が高いポジションに絞って探さないと年収は維持しにくいでしょう。Web系企業という別の選択肢と比べたい場合は、SIerからWeb系への転職の記事も参考になります。

社内SE求人の「賃金表」は、求人票だけでは分かりにくい

等級・賞与実績・残業の実態は、企業と直接やり取りしているエージェントのほうが情報を持っています。IT職に特化したエージェントで、気になる求人の条件を確認しておくと比較が楽になります。

IT専門エージェントに社内SE求人の条件を相談する

社内SEの求人票・面接で確認すべき5項目

社内SEの年収は会社の賃金表で決まるので、求人票の「年収450万〜800万円」のような幅だけ見ても、実際にいくらになるかは分かりません。応募前と面接で、次の5つを確認してください。

社内SEの求人票・面接で確認する5項目。等級と年収レンジ、賞与の支給実績、残業代の扱い、担当範囲と人数、雇用主の法人
応募前と面接で確認する5項目
  1. 等級と年収レンジIT職に専用の等級や手当があるか、総合職と同じ賃金表か。入社時にどの等級になるか、その等級の年収レンジの上限はいくらかを聞きます。
  2. 賞与の支給実績「賞与年2回」だけでは分かりません。直近の支給月数と、業績連動の幅を確認します。前述のとおり、大企業と小企業では所定内給与の約3.6か月分と約2.1か月分の差があります。
  3. 残業代の扱い固定残業代が含まれているなら、何時間分で、超えた分は払われるか。システム更新や障害対応の時期の残業時間も聞いておきます。
  4. 担当範囲と情シスの人数企画・開発・運用・ヘルプデスクの比率と、情報システム部門の人数。ヘルプデスク中心なら、上の役割別データのとおり年収の伸びは小さくなりがちです。
  5. 雇用主の法人本社採用か、情報システム子会社での採用か。子会社は親会社と別の賃金表を持っていることがあり、統計上も「情報サービス業」に分類されます。親会社の知名度だけで判断しないことが大切です。

面接でこれらをどう聞くかは、エンジニア転職の逆質問の記事で、評価制度や開発体制の聞き方とあわせて紹介しています。会社選びの軸そのものを整理したい場合はエンジニア転職の会社選びの基準も役立ちます。

社内SEとして年収を上げる3つのルート

1. 企画・PM寄りの役割に移る

dodaのデータでは、40代のIT戦略/システム企画は723万円、システム開発/運用は628万円、運用/監視/保守は552万円です。年齢とともに差が広がるので、運用中心のまま年数を重ねるより、IT投資の企画やプロジェクト管理に関わる役割に移るほうが年収は伸びやすくなります。社内でのキャリアの選び方はスペシャリストとマネジメントの選び方で整理しています。

2. 企業規模・業界を上げて転職する

同じ役割でも、会社の賃金表が変われば年収が変わります。30〜34歳で比べると、製造業の100〜999人(479万円)から1,000人以上(626万円)に移るだけで、水準は約150万円違います。インフラ寄りの経験が中心なら、インフラエンジニアの年収の記事も比較の材料になります。

3. 自分の市場価値を把握してから年収交渉する

社内SEは、事業会社の人事が年収を決めるため、ITの専門性が給与に反映されにくいことがあります。応募前に自分の相場を把握しておくと、提示額が低いときに交渉しやすくなります。相場の調べ方はエンジニアの市場価値診断サービス比較、交渉の進め方はエージェントを使った年収交渉の記事で解説しています。

よくある質問

社内SEで年収600万円は高いほうですか?
役割によります。dodaの平均では、IT戦略/システム企画の30代が594万円なので、企画寄りの社内SEなら30代で平均的な水準です。一方、運用/監視/保守(30代441万円)やヘルプデスク(同375万円)の水準と比べると、600万円はかなり高い部類に入ります。賃金構造基本統計調査(令和7年)の全業界平均では、30〜34歳で600万円を超えるのは主に1,000人以上の企業や金融業です。
社内SEで年収1,000万円は可能ですか?
可能ですが、限られたポジションです。dodaのIT戦略/システム企画でも50代以上の平均は851万円です。Geeklyのデータでは社内SEの最高年収が1,300万円と出ていますが、これは上限の例です。1,000万円を狙うなら、大企業の情報システム部門の管理職、IT企画の責任者、外資系企業のITマネージャーなどが現実的なルートになります。
システム管理者(情シスの運用担当)の年収はどのくらいですか?
dodaの「運用/監視/保守」は平均389万円(20代350万円、30代441万円、40代552万円)、「ヘルプデスク」は平均362万円です。サーバー・ネットワーク・アカウント管理などの運用業務は、社内SEの中では年収が低めの層です。
社内SEは「ゆるい」から年収が低いのですか?
年収の水準を決めているのは、主に会社の規模・業界と役割です。残業が少ない職場では残業代が減るので、額面の年収は下がって見えます。賃金構造基本統計調査(令和7年)では、情報サービス業の残業代などの平均は年約38万円でした。比べるときは、残業代を除いた年収や時間あたりの給与で見るのがおすすめです。

年収の額面だけでなく手取りで比べたい場合は、エンジニアの年収手取り計算シミュレーションで年収帯ごとの手取りを確認できます。

参考・出典

  1. doda「平均年収ランキング(職種・職業別の平均年収/生涯賃金)」2025年版 — https://doda.jp/guide/heikin/syokusyu/
  2. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」 — https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/index.html
  3. e-Stat「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類 第1表」 — e-Stat 統計表(産業計・産業別)
  4. e-Stat「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類 第1表(G 情報通信業)」 — e-Stat 統計表(情報通信業)
  5. 求人ボックス 給料ナビ「社内SEの仕事の年収・時給」 — 求人ボックス 給料ナビ(社内SE)
  6. 求人ボックス 給料ナビ「システムエンジニアの仕事の年収・時給」 — 求人ボックス 給料ナビ(システムエンジニア)
  7. Geekly「社内SEの年収」コラム(調査期間2025年6月〜2026年5月、4,548名) — https://www.geekly.co.jp/column/?p=90350
福朗
福朗

フリーランスAIエンジニア。AIパイプライン開発と技術キャリアについて発信しています。

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