転職エージェントで求人を紹介されないエンジニアは「止まっている場所」を切り分ける|対応範囲・希望条件・経歴・優先度・社内推薦の判定表と乗り換え先【2026年10月版】
面談は終わったのに求人が1件も来ない。来ても「SES」「テスター」「営業職」ばかり。エンジニア(IT・通信)の転職求人倍率は2026年8月時点で12.04倍(doda)と売り手市場なのに、です。
この状態の原因は「市場に求人がない」ことより、エージェントの中のどこかで、あなたと求人のマッチングが止まっていることの方がずっと多いです。止まる場所は大きく5つあり、場所によって打ち手がまったく違います。条件を下げるべき人もいれば、担当者に1通メールを送るだけで動く人も、エージェントを替えるしかない人もいます。
この記事では、エージェントの収益構造と法律上の扱いを押さえたうえで、止まっている場所を判定する表と、場所別の対処、乗り換え先の選び方を示します。
- 対応範囲外(地域・職種・年収帯)… エージェント側に求人自体が無い。粘っても出てこないので乗り換える
- 希望条件が狭い … フルリモート・年収下限・技術スタックを重ねると候補は急減する。条件に優先順位を付け直す
- 経歴が要件に届かない … 企業側の必須要件で落ちている。経歴の書き方か、狙う求人の層を変える
- 優先度が低い … 転職時期が曖昧・返信が遅いと後回しにされる。時期と条件を言い切る
- 社内推薦で止まる … 分業型の会社では、担当者が推薦可否を企業担当に確認している間は動かない。止まっている理由を聞く
求人倍率12倍でも紹介されないのはなぜか:エージェントの売上構造と法律
成功報酬型なので「決まりそうな人」から動く
転職エージェント(有料職業紹介)は、求職者からはお金を取らず、入社が決まったときに企業から手数料を受け取る成功報酬型です。手数料は理論年収に対する割合で決まり、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」に会社ごとの実績が載っています。
| 事業者 | 職種区分 | 手数料実績率(令和7年度) | 就職者数(令和7年度) |
|---|---|---|---|
| レバテック | 情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発) | 55.0% | 7,963人 |
| レバテック | 情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発を除く) | 50.0% | (同上・会社全体) |
| ジェイエイシーリクルートメント | 情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発を除く) | 39.3% | 13,694人 |
出典: 厚生労働省 人材サービス総合サイト(令和8年10月1日現在の掲載)。就職者数は4か月以上の有期+無期で、職種別ではなく会社全体の値。
仮に年収600万円で決まり、手数料率が35%なら、1件で210万円がエージェントに入ります。逆に言えば、入社まで行かなければ売上はゼロです。担当者(キャリアアドバイザー)は限られた時間を「内定まで行きそうな人」に優先して使うので、決まる見込みが低いと判断された人は、求人の提案が細るか止まります。これは担当者の性格の問題ではなく、構造の問題です。
法律上、「紹介しない」こと自体は違反ではない
職業安定法は、職業紹介事業者に求職の申込みはすべて受理するよう求めています(第5条の7)。一方で、求職者の能力に合う職業を紹介することは「努めなければならない」という努力義務です(第5条の8)。さらに、事業者が取扱職種の範囲等を届け出ている場合、受理義務はその範囲内に限られます(第32条の12第2項)。
つまり、登録は受け付けても、合う求人が無ければ紹介しないのは法律上ありえることです。「門前払い」「全部断られた」と感じても、それだけで違法とは言えません。だからこそ、感情的に抗議するより、どこで止まっているかを特定して手を打つ方が早いです。
手数料の仕組みそのものは転職エージェントの利用費用と仕組みで詳しく書いています。
止まっている場所は5つ:まず判定表で当たりを付ける
エージェント経由の転職は「登録 → 面談 → 求人の選定 → 社内での推薦判断 → 企業の書類選考」と進みます。紹介が来ないとき、止まっている場所は次の5つのどれかです。
| 症状 | 止まっている場所 | 確認のしかた | 最初の一手 |
|---|---|---|---|
| 面談前後に「ご紹介できる求人がない」と言われた/面談自体が設定されない | ①対応範囲外 | 希望地域・職種・年収帯がその会社の主戦場か、公開求人の件数で確認 | 得意領域が合う会社に乗り換える |
| 件数は来るが、希望と関係ない求人ばかり | ②希望条件が狭い/③経歴とずれ | 希望条件を1つずつ外して公開求人を検索し、件数の変化を見る | 条件の優先順位を伝え直す |
| 応募しても書類で全滅、そのうち提案も減った | ③経歴が要件に届かない | 落ちた求人の必須要件と自分の職務経歴書を突き合わせる | 経歴の書き方か、狙う層を変える |
| 面談後しばらくして連絡が細った | ④優先度が低い | 面談で伝えた転職時期・返信の速さを振り返る | 時期と条件を明確にして連絡し直す |
| 応募したい求人を伝えたら「確認します」のまま進まない | ⑤社内推薦で止まる | 止まっている理由(企業の要件・募集停止・応募過多)を聞く | 理由を聞き、ダメなら次の求人に切り替える |
マイナビの「転職動向調査2026年版(2025年実績)」で、転職活動が難しかったと答えた人に理由を聞くと、クリエイター・エンジニア(n=74)では「自分の経験・スキルから、応募の要件を満たす求人がなかった(少なかった)」が28.4%でした。一方、「利用した転職サービスが悪かった」は6.8%です。サンプルは小さいものの、「紹介されない」の多くはサービスの質より、経歴・条件と求人のマッチングの問題だと読めます。
場所別の原因と対処
STAGE 1対応範囲外:そもそも求人を持っていない
エージェントごとに、強い地域・職種・年収帯ははっきり分かれています。たとえばハイクラス向けのTechGoの公開求人(2026年10月20日時点で6,308件)を勤務地で絞ると、次のとおりです。
東京が約7割を占めています。地方在住でフルリモートを希望していない場合、首都圏に強いエージェントでは「紹介できる求人がない」のは自然な結果です。同じことは職種(組み込み・社内SE・インフラ運用など)や年収帯(ハイクラス専門は年収の下限が高い)でも起きます。
対処:粘っても求人は増えません。希望する地域・職種の公開求人が多いエージェントに乗り換えます。登録前に、公式サイトの求人検索で「希望地域×職種」の件数を確認しておくと外しにくくなります。年収帯でエージェントを選ぶ方法はハイクラスのエンジニア転職エージェント比較、年代で選ぶ方法は年代別のエンジニア転職エージェントの選び方にまとめています。
STAGE 2希望条件が狭い:条件を重ねると候補は急減する
エンジニアの希望でよく重なるのが「フルリモート」「年収◯万円以上」「特定の言語・職種」です。1つずつなら珍しくない条件でも、重ねると候補は桁で減ります。同じくTechGoの公開求人で確かめると次のとおりです(年収の絞り込みは求人の年収下限で判定される)。
「リモート可」なら約半数あるのに、「出社なしのフルリモート」に限ると1.7%まで落ちます。バックエンド職でフルリモートに限ると11件です。ここに「自社プロダクト」「言語はGo」などを足せば、1社のエージェントが持つ公開求人では数件か0件になります。担当者から見ると、条件を全部満たす求人は無く、満たさない求人を出すと断られるので、提案を出しようがない状態です。
対処:条件に「絶対」「できれば」「どちらでも」の3段階を付けて伝え直します。とくにリモートは「フルリモート必須」と「週1〜2出社まで可」で母数が大きく変わります。フルリモート求人に絞って探すなら、エージェント以外の探し方も併用した方が効率的です(フルリモートのエンジニア求人の探し方)。
STAGE 3経歴が要件に届かない:企業の必須要件で弾かれている
中途採用は即戦力採用です。厚生労働省の令和7年転職者実態調査では、「専門的・技術的な仕事」で転職者を採用した理由の1位は即戦力になるから(64.1%)でした。エンジニア求人の多くは「◯◯の実務経験3年以上」「設計からの経験」のような必須要件を持っていて、担当者は要件を満たさない人を推薦しにくくなります。
エンジニアで要件とずれやすいのは次のパターンです。
- 経験の大半がテスト・運用保守・ヘルプデスクで、開発(設計・実装)の経験年数が短い
- SESで現場が短期間に変わり、1つの技術・ドメインでの経験年数が積み上がっていない
- 希望する技術スタック(例: Go、Kubernetes)が業務経験ではなく個人学習だけ
- 職務経歴書に担当工程・チーム規模・使った技術が書かれておらず、担当者が求人と結び付けられない
- 短期離職が続いている、またはブランクの説明がない
ここで注意したいのは、担当者は職務経歴書に書かれた情報で求人を検索していることです。実際には設計経験があっても、経歴書に「詳細設計」と書いていなければ設計経験者向けの求人は候補に上がりません。
対処:まず経歴書に工程・技術・規模・成果を書き足して担当者に送り直します。それでも届かない場合は、狙う求人の層を一段下げて「経験を積める会社」を経由するか、要件の低い未経験・ポテンシャル枠に強いエージェントを使います。書類選考で落ちる原因の切り分けはエンジニアの書類選考が通らない原因の診断で詳しく扱っています。
STAGE 4優先度が低い:決まる見込みが読めないと後回しになる
担当者の時間配分は、成功報酬型である以上「近いうちに決まりそうな人」に寄ります。次のような人は、条件や経歴に問題がなくても後回しになりがちです。
対処:「◯月までに内定を取りたい」「この3条件を満たす求人なら応募する」と言い切って連絡し直します。見送るときは「年収レンジが下限より低い」「受託比率が高い」のように理由を1行添えると、次の提案の精度が上がります。連絡そのものが途絶えた場合の動き方は転職エージェントが音信不通になったときの対応を参照してください。
STAGE 5社内推薦で止まる:分業型の会社は「確認中」が長くなる
大手エージェントの多くは、求職者を担当する人(キャリアアドバイザー)と企業を担当する人(リクルーティングアドバイザー)が別の分業型です。たとえばキャリアデザインセンター(type転職エージェント)はIR資料で、一般領域を分業型として説明しています。分業型では、応募したい求人を伝えても、担当者は企業担当に推薦してよいかを確認してから動くので、その間は止まります。
関連検索に出てくる「求人が推薦できない状態のため、弊社企業担当者へ確認しております」のような表示は、こうした確認待ちを示すものと考えられます。確認の結果として多いのは、次のようなケースです。
- 企業側で募集が一時停止・充足している(求人票が残っているだけ)
- 企業が非公開で伝えている要件(経験年数・転職回数など)に合わない
- 同じ求人に推薦がすでに多く集まっていて、企業側が受付を絞っている
対処:数日たっても動かなければ「推薦できない理由が分かれば教えてほしい。難しければ近い条件の求人を提案してほしい」と送ります。理由が分かれば、STAGE 2〜3のどこを直すべきかも見えます。
担当者に送るメッセージの文例
止まっている場所が自分では判断できないときは、担当者に直接聞くのが一番早いです。次の文面はそのまま使えます。
返事の中身で判定が付きます。「紹介できる求人がほとんどない」ならSTAGE 1なので乗り換え、「年収が…」「リモートが…」ならSTAGE 2なので条件の見直し、「経験年数が…」ならSTAGE 3なので経歴の書き直し、という流れです。
乗り換え先の選び方:エージェントだけが経路ではない
止まっている場所別の乗り換え先
| 止まっている場所 | 次に使う先 | 理由 |
|---|---|---|
| ①対応範囲外(地域) | 地方求人も扱う総合型、または地域に強いエージェント | 首都圏中心の会社は地方の求人をそもそも持っていない |
| ①対応範囲外(年収帯) | 年収帯が合うエージェント(ハイクラス専門↔総合型) | ハイクラス専門は求人の年収下限が高く、逆に総合型は高年収帯が薄いことがある |
| ②希望条件が狭い | スカウト型サービス・求人サイトの併用 | 条件に合う企業から声がかかる形の方が、狭い条件と相性が良い |
| ③経歴が要件に届かない | 未経験・ポテンシャル枠に強いエージェント、書類の添削が厚いところ | 要件の低い求人を多く持ち、経歴の見せ方から手伝ってもらえる |
| ④優先度が低い | 同じ会社で担当者の変更を依頼、または別の会社 | 担当者単位の相性・負荷の問題であることも多い |
| ⑤社内推薦で止まる | 企業への直接応募、または両面型(1人が企業も求職者も担当)のエージェント | 企業の状況を担当者本人が把握しているので、確認待ちが短い |
複数のエージェントに並行して登録するのも有効です。同じ条件でも、会社ごとに持っている求人が違うからです。ただし同じ求人に複数の経路で応募すると企業側で重複になるので、応募した求人と経路は自分で管理しておきます(運用のコツはエンジニア転職エージェントの複数登録)。
エンジニアの転職の多くはエージェント以外の経路で決まっている
厚生労働省の令和7年雇用動向調査で、情報通信業に転職で入職した人の経路を見ると、民営職業紹介所(エージェント)経由は16.2%でした。求人サイトからの直接応募を含む「広告」が31.0%、知人や前の会社などの「縁故」が23.5%です。エージェントで紹介が止まっても、経路はほかにもあるということです。
同じ調査で、前職より賃金が1割以上増えた人の割合は、民営職業紹介所経由が50.2%、広告経由が51.4%とほぼ同じでした(産業単位の集計で、職種別ではない点と、経路ごとに転職者の層が違う点には注意)。エージェントを使わないと年収が上がらない、というわけでもありません。求人サイトやスカウトの使い分けはエンジニアの転職サイトおすすめ(経路で選ぶ)、エージェントを使うべきでない人の条件は転職エージェントは「やめとけ」?の検証で書いています。
紹介を止めないために避けたいこと
- 希望年収を盛る・経歴を盛る:面談で高く伝えると、紹介できる求人がさらに減ります。書類や面接で食い違えば推薦自体が止まります。
- 同じ求人に複数経路で応募する:企業から見て重複になり、どちらの経路でも進まなくなることがあります。
- 黙って放置する:見送り理由を伝えないまま連絡を絶つと、担当者は優先度を下げるしかありません。合わないと分かったら、その旨を伝えて別のエージェントに移る方が双方にとって早いです。
- 紹介される求人をすべて「SESばかり」と切り捨てる:中には自社開発比率の高い会社や、商流の浅い会社も混ざります。見分け方はSES・客先常駐の転職サインと商流の見方を参考にしてください。
よくある質問
転職エージェントに求人を紹介されないのはなぜですか?
紹介できる求人がないと言われたら、どうすればいいですか?
エンジニア採用に強いエージェントはどう選べばいいですか?
ダメな転職エージェントの特徴は何ですか?
自分で見つけた求人をエージェント経由で応募できますか?
参考・出典
- 厚生労働省「人材サービス総合サイト」職業紹介事業詳細(レバテック 13-ユ-308734、ジェイエイシーリクルートメント 13-ユ-010227。令和8年10月1日現在)
https://jinzai.hellowork.mhlw.go.jp/JinzaiWeb/GICB101010.do?action=initDisp&screenId=GICB101010 - e-Gov法令検索「職業安定法」第5条の7・第5条の8・第32条の12
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141 - doda「転職求人倍率レポート」(2026年8月、2026年9月17日発表)
https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/data/ - マイナビキャリアリサーチLab「転職動向調査2026年版(2025年実績)」Q29 転職活動が難しかった理由
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2026/03/tensyokudoukou0323UP-1.pdf - 厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-r07-gaikyo.pdf - 厚生労働省「雇用動向調査」令和7年 年計(入職経路別・賃金変動状況別の表)/e-Stat
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?toukei=00450073 - TechGo 求人検索(公開求人の条件別件数、2026年10月20日確認)
https://tech-go.jp/jobs/search




