エンジニアの書類選考が通らない原因を診断する|要件の不一致・職務経歴書・応募数と経路のどこを直すかの判定表【2026年10月版】
dodaの転職求人倍率では、エンジニア(IT・通信)は2026年8月に12.04倍でした(全職種は2.86倍)。求人の数だけ見れば売り手市場です。それでも「10社出して面接ゼロ」は普通に起きます。倍率は職種全体の平均で、あなたが出した求人の必須要件とは関係がないからです。
書類で落ちる原因は、大きく3つの層に分けられます。どの層かによって、やることがまったく違います。要件がズレているのに職務経歴書を何度書き直しても通りませんし、書類が良くても応募が5社では結果は判断できません。
- 層1 要件の不一致:応募先の必須要件と経歴がズレている。書き直しでは直らないので、応募先を選び直す
- 層2 職務経歴書の書き方:要件は満たしているのに、役割・規模・成果が伝わっていない。求人の言葉で書き直す
- 層3 応募数と経路:書類に問題がなくても、母数が少ない・経路が1つだけ。数と経路を増やす
判定は「感覚」ではなく、直近の応募10社分のログで行います。基準にするのは、転職できた人の応募→面接の割合(エンジニアで平均54.5%)です。
// STEP 0まず数字で確認する:あなたの書類通過率は「異常」か
書類が通らないと感じたとき、最初にやるのは書き直しではなく、今の通過率が普通の範囲かどうかの確認です。比較の基準として、マイナビ「転職動向調査2025年版」(2024年に転職した正社員1,500人)の「転職活動の実績」を使います。
| 2024年に転職した人の平均 | 全体(n=1,500) | クリエイター・エンジニア(n=207) |
|---|---|---|
| 応募した求人の数 | 9.0件 | 9.0件 |
| 面接前に自分から辞退した数 | 1.0件 | 1.2件 |
| 面接を受けた数 | 3.8件 | 4.9件 |
| 応募のうち面接を受けた割合 | 42.1% | 54.5% |
| 内定を獲得した数 | 1.6件 | 1.6件 |
出典:マイナビ「転職動向調査2025年版(2024年実績)」1-3 転職活動の実績。割合は回答者ごとの比率の平均で、件数の平均どうしの割り算とは一致しません。
この数字には注意点が2つあります。
- 転職に成功した人だけの回答です。活動をやめた人、まだ活動中の人は入っていないので、全体の実態より通過率は高めに出ます。
- 「面接を受けなかった応募」には、書類で落ちたものと、自分で辞退したもの(エンジニアで平均1.2件)が混ざっています。
それでも目安にはなります。エンジニアの転職者は、平均すると応募の半分くらいは面接まで進んでいるということです。
何社落ちたら「偶然ではない」と言えるか
書類の通過を1社ずつのくじ引きとみなして、全部落ちる確率を計算すると下のようになります(各社の結果が互いに独立だと仮定した単純計算です)。
| 本来の書類通過率 | 5社で全落ち | 10社で全落ち | 10社で通過0〜1社 |
|---|---|---|---|
| 30% | 16.8% | 2.8% | 14.9% |
| 50% | 3.1% | 0.1% | 1.1% |
通過率30%の人でも、5社全落ちは6回に1回くらい起きます。5社で判断するのは早すぎます。一方、10社出して通過0〜1社は、通過率が5割ある人ならほぼ起きません。この状態なら、どこかの層に原因があると考えて診断に進みます。
書類選考を「難しい」と感じた人は3割半
マイナビ「転職動向調査2026年版」(2025年に転職した1,446人)では、書類選考を「難しかった」と答えた人は全体で34.7%、現在の職種がクリエイター・エンジニアの人では36.7%でした。転職できた人でも3人に1人は書類で苦労しています。
差が出たのは、業種・職種を変えたかどうかです。
| 前職→現職の変化 | n | 書類選考が「難しかった」 | 「簡単だった」 |
|---|---|---|---|
| 同業種・同職種(組織チェンジ) | 718 | 31.1% | 34.7% |
| 異業種・同職種(業種チェンジ) | 241 | 39.4% | 27.4% |
| 同業種・異職種(職種チェンジ) | 119 | 41.2% | 25.2% |
| 異業種・異職種(フルチェンジ) | 368 | 36.7% | 27.2% |
出典:マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)」1-10-1 転職活動の難易度。全職種の集計。
職種を変える転職では「難しかった」が4割を超えます。インフラからバックエンド、SIerのPMからWeb系の開発など、職種をまたぐ応募が多い人ほど、層1(要件の不一致)を疑うのが先です。
// DIAGNOSIS落ちる原因の3層と、どこを直すかの判定表
直近の応募10社分について、次の項目をスプレッドシートに書き出してください。これが診断の材料です。
- 応募日と経路(転職サイトの直接応募・エージェント経由・スカウトへの返信・リファラル)
- 求人の必須要件の数と、そのうち満たしている数
- 求人の想定年収レンジと、自分の希望年収
- 結果(書類通過・書類不通過・エージェントが推薦しなかった・連絡なし)
フローで当たりを付けたら、下の判定表で症状を照らし合わせます。複数の層に当てはまる場合は、層1→層2→層3の順に直します。応募先がズレたまま書類を磨いても、応募数を増やしても、落ちる回数が増えるだけだからです。
| 症状(応募ログで確認) | 層 | 最初に直すこと |
|---|---|---|
| 必須要件のうち満たしていないものがある求人に、3割以上応募している | 層1 | 応募先を選び直す。必須要件をすべて満たす求人を中心にする |
| 職種をまたぐ応募が多い(インフラ→アプリ、PM→開発など) | 層1 | 今の職種の延長で通る求人と、職種を変える求人を分けて応募する |
| 希望年収が、求人の想定年収レンジの下限より高い | 層1 | レンジの中に希望が入る求人へ出す。希望年収欄の書き方を見直す |
| 同じくらいの水準の求人で、通る会社と落ちる会社がある | 層2 | 落ちた求人の必須要件の言葉が、経歴書に入っているか確認する |
| エージェントには「推薦できる」と言われたのに落ちる | 層2 | 職務要約と案件ごとの役割・規模・成果を書き直す |
| 短期離職や転職回数が多いのに、理由を書いていない | 層2 | 経歴書に退職理由を一行ずつ添える |
| 応募が10社に届いていない | 層3 | 判断を保留して、条件を変えずに応募数を増やす |
| 経路が1つだけ(転職サイトのみ、エージェント1社のみなど) | 層3 | スカウト・別のエージェント・直接応募を足す |
| エージェント経由で「見送り」が続くが、企業に出されたか分からない | 層3 | 推薦したかどうかを担当者に確認する |
「3割」「10社」は本記事の目安です。上の確率計算と転職者調査の平均から置いた基準で、公式な基準値ではありません。
// LAYER 1層1 要件の不一致:書き直しでは直らない
企業が書類で何を見ているかは、人事担当者向けの調査で分かります。学情の調査(2026年3〜4月、人事担当者295件、20代のキャリア採用が対象)では、書類選考やスカウトで評価する点の上位は次のとおりでした。
| 書類選考で評価する点(複数回答) | 割合 |
|---|---|
| 経験した業務内容 | 78.4% |
| 経験した職種・業種 | 69.6% |
| 転職理由 | 46.8% |
| 転職回数 | 45.6% |
| 志望動機 | 41.6% |
出典:学情「20代キャリア採用の選考での評価ポイント」(2026年5月25日発表)。同じ調査で、面接で評価する点の1位はコミュニケーション力(75.2%)でした。
書類の段階で見られているのは、熱意よりも「何をやってきたか」と「どの職種・業種でやってきたか」です。志望動機をいくら練っても、経験が求人とズレていれば書類は通りにくいということです。
転職者側の調査でも同じ傾向が出ています。マイナビ「転職動向調査2026年版」で転職活動が難しかったと答えた人(464人)に理由を聞くと、1位は「自分の経験・スキルから、応募の要件を満たす求人がなかった(少なかった)」で23.5%でした。クリエイター・エンジニア職では28.4%です(n=74で、参考程度の値)。
エンジニアの求人で「ズレ」が出やすい5つの軸
| 軸 | ズレの例 | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 技術スタック | 必須がGo・Kubernetesで、実務はJava・オンプレ中心 | 必須要件の技術を、実務で何年・どの深さで使ったか書けるか |
| 工程 | 「要件定義から運用まで」が必須なのに、詳細設計〜テストだけ | 経歴の工程と求人の工程を1対1で並べる |
| 役割 | リード・レビュー経験が必須なのに、メンバーとしての経験のみ | 「リード」「設計判断」を経歴書の事実で示せるか |
| 開発形態 | 自社サービスの継続開発が前提で、受託・SESの案件だけ | リリース後の改善や運用に関わった経験があるか |
| 年収 | 希望年収が、求人の想定レンジの下限より高い | レンジの下限と自分の希望を比べる |
年収のズレは見落としやすい点です。転職サイトによっては、年収で絞り込むとレンジの上限が条件に届いていればヒットするものがあります。「600万円以上」で検索して出てきた求人でも、実際のレンジは450〜650万円ということがあります。希望が700万円なら、検索に出てきても書類で落ちやすい求人です。検索結果の見方はエンジニアの転職サイトの選び方と検索結果の罠でまとめています。
SIerやSESからWeb系へ移る場合は、工程と開発形態の両方でズレが出やすくなります。商流ごとの違いはSIerからWeb系への転職で年収は上がるのかとSES・客先常駐の転職サインの判定表を参照してください。
層1の直し方:応募先を2つの箱に分ける
- 「今の職種の延長」の箱:必須要件をすべて満たす求人。応募の中心はここにする
- 「職種・領域を変える」の箱:必須要件が1つ足りない求人。足りない要件を、個人開発・社内での担当替え・資格などで埋めてから出す
- 2つ目の箱に入れた応募は、通らなくても書類の書き方の問題とは考えない。層2の診断から外す
足りない要件が「実務経験」なら、すぐには埋まりません。その場合は、今の職場で担当を変えてもらう、個人開発で見せられる成果物を作る、といった中期の手を打ちます。ポートフォリオを作るなら、求人票との一致度で見せる1本を選ぶ方法が使えます。
// LAYER 2層2 職務経歴書の書き方:要件は満たしているのに落ちる
必須要件を満たしているのに、同じくらいの水準の求人で通る会社と落ちる会社がある。この場合は、経験はあるのに書類からそれが読み取れていない可能性が高いです。
書類を最初に読むのは、エンジニアではない人事担当者や、エージェントの担当者であることも多いです。その人が求人票の必須要件と経歴書を見比べて、同じ言葉が見つからなければ「要件を満たさない」と判断されます。
エンジニアの経歴書で落ちやすい6つのパターン
| パターン | 読み手から見た問題 | 直し方 |
|---|---|---|
| 職務要約がない、または長い | 最初の数行で応募職種との一致が分からない | 冒頭3〜5行に、職種・年数・得意領域・直近の役割を書く |
| 技術スタックの羅列 | どれを主に使ったか、深さが分からない | 案件ごとに主に使った技術と担当範囲を書く。使用年数を添える |
| 役割・規模がない | メンバーかリードか判断できない | チーム人数と自分の役割(リード・レビュー担当など)を書く |
| 求人と違う言葉を使っている | 「基盤構築」と「SRE」、「保守」と「運用改善」がつながらない | 応募先の求人票の言葉に合わせる。嘘にならない範囲で言い換える |
| 客先名を伏せすぎて中身がない | 「大手企業向けシステム」だけでは業務が分からない | 社名は伏せても、業界・システムの種類・規模は書く |
| 転職回数・短期離職の説明がない | すぐ辞めるのではと読まれる | 退職理由を一行で添える(契約終了・事業撤退など事実ベース) |
転職回数は、先の学情の調査でも45.6%の企業が書類で評価する点に挙げています。回数そのものは変えられないので、理由を書いて読み手の推測を止めるのが対処です。退職理由の書き方・言い換えはエンジニアの転職理由 例文にまとめています。
経歴書全体の構成やテンプレートはエンジニア職務経歴書の書き方ガイドで扱っているので、ここでは「落ちた求人に合わせて直す」手順だけ書きます。
層2の直し方:落ちた求人で経歴書を検証する
- 書類で落ちた求人を3件選び、それぞれの必須要件を書き出す
- 必須要件の言葉が、職務要約か案件の説明に入っているかを確認する。入っていなければ、該当する経験の書き方を変える
- 直した経歴書で、同じ水準の求人に5〜10社出す。書き直しの前後で通過率を比べる
応募先ごとに経歴書を全部作り直す必要はありません。変えるのは職務要約と、案件の並び順・書き方くらいで十分です。
// LAYER 3層3 応募数と経路:書類は悪くないのに母数が足りない
層1と層2に当てはまらないなら、単純にまだ判断できるだけの応募をしていない可能性があります。2024年に転職した人の平均は9.0件の応募で内定1.6件でした。5社前後で全落ちしても、先の確率計算のとおり、通過率30%の人でも6回に1回は起きることです。
経路ごとに「書類が誰に読まれるか」が違う
| 経路 | 書類選考の特徴 | 落ちたときに確認すること |
|---|---|---|
| 転職サイトの直接応募 | 応募が集まりやすく、人事が必須要件で機械的に絞ることが多い | 必須要件をすべて満たしていたか(層1) |
| 転職エージェント経由 | 企業に出す前に、エージェントが推薦するかを判断する。推薦文が付く | そもそも企業に推薦されたか。見送りの理由を聞けるか |
| スカウトへの返信 | 企業が経歴を見たうえで送っているので、書類は通りやすい傾向。ただし一斉送信のスカウトもある | 個別の文面か、条件だけで送られた一斉送信か |
| リファラル(社員紹介) | 紹介者の評価が添えられる | 紹介者に募集ポジションの要件を確認したか |
マイナビ「転職動向調査2026年版」で、2025年に転職した人が応募に使ったサービスは、転職サイトが32.8%、人材紹介会社(転職エージェント)が19.2%でした。転職サイトだけ、エージェント1社だけで活動している場合は、経路を足す余地があります。
エージェント経由で「見送り」が続くときは、企業の判断なのか、エージェントが推薦を見送ったのかを担当者に聞いてください。エージェントは採用が決まったときに企業から報酬を受け取る仕組みなので、通過の見込みが低いと判断した応募は企業に出さないことがあります。仕組みと使い分けは転職エージェントは「やめとけ」か?を厚労省データで検証した記事で詳しく書いています。
そもそも自分の経歴でどのくらいの年収帯・ポジションが狙えるのか分からない場合は、応募の前に市場価値診断サービスで当たりを付けておくと、層1のズレも見つけやすくなります。
層3の直し方:経路を足して、2週間で10社分のログを作る
- 条件(職種・年収・地域)は変えずに、今使っていない経路を1つ足す。スカウトサービスに経歴を登録する、エージェントを1社追加する、など
- 2週間で10社分の応募ログを作る。「エージェントが推薦しなかった」は書類不通過と分けて記録する
- 10社分そろったら、判定表に戻って層を判定し直す
// ORDER直す順番:判定から書類の作り直しまでの流れ
最後に、ここまでの手順を1本の流れにまとめます。
- 応募ログを作る(直近10社。足りなければ層3の手順で10社まで増やす)
- 判定フローと判定表で層を決める。複数当てはまれば層1から
- 層1:応募先を「延長」と「変える」の2つの箱に分け、延長の箱を中心に出す
- 層2:落ちた求人3件で必須要件の言葉を照合し、職務要約と案件の書き方を直す
- 層3:経路を1つ足して、条件を変えずに応募を続ける
- 10社ごとに判定し直す。通過率が上がった層の対処は続け、変わらなければ次の層を疑う
書類が通るようになったら、次は面接です。書類で評価された「経験」とは違い、面接ではコミュニケーションや相性が見られます(学情の調査で面接の評価点1位はコミュニケーション力75.2%)。面接の準備はエンジニア転職の逆質問やコーディングテスト対策から進めてください。
// FAQよくある質問
書類選考が通らない原因は何ですか?
書類選考なしの求人なら受かりやすいですか?
書類選考で不採用になった理由は教えてもらえますか?
何社落ちたら応募の方針を変えるべきですか?
- マイナビ キャリアリサーチLab「転職動向調査2026年版(2025年実績)」 https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2026/03/tensyokudoukou0323UP-1.pdf
- マイナビ キャリアリサーチLab「転職動向調査2025年版(2024年実績)」 https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2025/03/tensyokudoukoutyousa2025-.pdf
- 株式会社学情「20代キャリア採用の選考での評価ポイント」企業調査(2026年5月25日発表) https://service.gakujo.ne.jp/wp-content/uploads/2026/05/260521-comenq.pdf
- doda「転職求人倍率レポート(2026年8月)」 https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/
- doda「転職求人倍率レポート データ一覧」 https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/data/




